かつては冬の風物詩ともいわれた、酒田北港水路のハタハタ釣りですが、年々釣れなくなり去年は大荒れの時に一度釣れたようだが、今年は秋田県の男鹿半島の南側以南では殆ど釣れていない。
その原因としてよく言われているのが…
- 海水温の上昇(磯焼けなどの環境変化も含む)
- ハタハタの個体数減
- 海洋開発など
まあ、ハタハタがこの地域で獲れなくなった理由としては漠然とだが頷けます。
が、私ねちっこいのでw少し調べてみました。
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1. 海水温の上昇
地球温暖化が叫ばれ、水温上昇、気候変動、海面上昇などのニュースを目にする機会も多いので、これはハタハタが接岸しなくなった理由として頭では納得できる。
しかし、具体的にはどんな感じなのか?
上の図は100年前と比べた2021年の平均海面温度の差で、世界全体で+0.56℃/100年、北太平洋全体で+0.55℃/100年となっていますが、日本近海ではおよそ+1.19℃/100年と他の地域より高くなっています。
更に、日本海側の方が値が大きく、その中でもこの辺りの日本海中部が+1.80℃/100年と最も高くなっています。
海水温の1℃の違いは、人間でいう気温10℃に匹敵すると言われているようです。
しかし、100年前と比べてもまだピンと来ないので、10年単位くらいのデータが無いのか探しましたが、「広島県内でこの20年で、海水温の平均が約1℃上昇」「沖合350メートル、水深8メートルの海水温が、約0.2℃/10年の上昇率(千葉の太平洋側か?)」くらいしか簡単には見つかりませんでした。
そして見つけたのは、気象庁の海洋の情報…
念のため予備知識として…
ハタハタは本来、深海魚で水深200~400m程度の砂泥の海底(水温2~5℃程度)で暮らしていますが、冬になると繁殖のため沿岸の浅場(水温13℃以下になると)にやってきます。
群れは大きく分けて3つで、北海道周辺を繁殖海域とする個体群、秋田沿岸で産卵し鳥取県から秋田県沖を主に回遊する個体群、朝鮮半島の北側で産卵し鳥取沖まで回遊してくる個体群。
鳥取沖にはDNA鑑定により秋田産卵群と朝鮮半島産卵群が混ざっているとの事ですが、秋田生まれのハタハタが、どの程度の割合で南下するかはまだ不明。またハタハタも、サケなどのように生まれた場所へ帰って産卵するようでしたが?ハタハタに関する研究はまだ余り進んでいない様です。
これらの図は、人工衛星、船舶、ブイ、中層フロートなどの観測データを総合的に解析(データ同化)することにより得られた結果だそうです。
上の図からこの辺りの海面水温は、まだ14~15℃、男鹿半島あたりから北は14℃以下のようです。
上の2つの図は水深50m、水深100mの海水温の等温線図です。
水深50mの図を見ると、沿岸部はやや水温が下がっていますが、その沖合には水深100mの図もどちらも男鹿半島付近まで15℃の海水が南北に帯状に広がっています。
※陸地のすぐ脇の水色(グレー?)部分の海はそれより水深が無い(浅い)ということです。
一応、上の海図と比べても分かるように、生息域の水深200~400mの海底から、海底付近を泳いで沿岸に向かってやって来ると思われるハタハタにとって、庄内から秋田県男鹿半島沖付近までの水深50m~100mの海底に、行く手を阻む水温15℃の見えない壁があります。(ハタハタの成魚は水温14℃以下でないと生きられないと言われている)
これらの事から、12/21現在、男鹿半島の北側(北浦などより北)でしかハタハタが獲れてない&釣れてない理由が納得できます。
北浦漁港では、今年は季節ハタハタ漁が好調だったようなので、この暖かい水温の壁に沿ってハタハタが北上して行ったと考えればこれも納得。
あと、西目やその他の秋田県南部の漁港でも数キロ単位で少しは上がったのは、男鹿半島沿岸から水深が浅く水温の低い沿岸部に沿って回り込んで回遊(南下)して来たとも考えられれます。
そして、ハタハタの接岸を阻む、にっくきwこの暖かい海水の帯の原因は…
暖かい海水温の海流が、能登沖から佐渡と新潟の間を通って、飛島付近を通り男鹿半島沖へと流れています。海水温の分布と場所が重なるので多分これが原因だと考えられます。
ガッテン、ガッテン!w
あとは水温上昇により、産卵場所となる藻場がヒトデやウニ、海藻を食べる魚などによって海藻が無くなる「磯焼け」ですが、北海道など別の地域での報告は有りましたが、この近くでの具体的な情報は見当たりませんでした。
ただ、酒田北港水路は海底が以前より砂で埋まって浅くなったような気がします。
水路に藻が有ったのかは分かりませんが、護岸のコンクリートなどむき出しの底などに海藻が付いてそれに産卵していたのだとすると、産卵場所は今では砂に埋まって岸壁に生えた海藻のみになっているという事かも知れません。
2. ハタハタの個体数減
これは沖の底引き漁の漁獲高では…
秋田県は8日、2022年漁期(9月~来年6月)の沖合底引き網漁によるハタハタ漁獲量が6日現在で34・6トンになったと明らかにした。前年同期比で1・8倍に達したものの、記録の残る04年以降では2番目に少ないという。県議会農林水産委員会で報告した。
秋田魁新報web版より
ということで、沖合でも余り獲れなかったようですので、個体数が減っているのは明らか。
この原因の一つが、海水温上昇と産卵場所である藻場の減少とも言われています。
が、個体数が少ないという理由だけでは、全くと言っていいほど獲れない、釣れない理由にはならないと思います。(少しでも接岸するはずなので、複数要因ではないか?)
3. 海洋開発など
ハタハタは振動に敏感な魚かも知れないという報告があるようですが、実際にはハッキリ分かっていないようです。
秋田県南部の海岸に設置された風車の振動が原因で、ハタハタが来なくなったのではという説もあるようですが、酒田北港水路では風車が設置されてからも釣れていましたし、残党を釣るためにわざわざ風車の基礎(柱)付近を狙っている人も多いので、まあ問題無いレベルなのでは?と私は思っています。
と言う事で、大荒れのあと(まだ荒れているが)も各地余り釣れていないようなので、酒田北港水路は今年も不発決定か…
北港水路までは車で10数分程ですが、西寄りの風が強く波が3m以上あると車に海水の飛沫が掛かって真っ白になり、いちいち洗車しなくてはいけないので、釣れていないのに見に行く気にはなれませ~んm(__)m
追伸
2022.12.26 秋田県金浦の飛分港の一部でハタハタが釣れ出したという情報を得、気象庁のページを確認した所…
上の図は昨日の水深50mの海水温ですが、ちょうど秋田県境から少し北の方まで(金浦辺り)15℃の水温帯が途切れてきました。(水深100mでも途切れていました)
という事で、この気象庁の海水温の図はハタハタの接岸目安に使える!…ようです?w (;^_^A
水深100mの水温は、予測も見れるので、これによると明日27日~28日頃には酒田沖付近も15℃の帯が更に崩れるようです。(海流の勢いがなくなるようです)
これは明日~明後日頃、酒田北港水路でもワンチャンあるかも知れません!!w
12/28追伸 ↑ 15℃の水温帯はまだ消えていませんでしたm(__)m(12/27の実況データで)
現在の水温だけを見た予測では30日には消えて、水路には31日に入る予測ですが?ww
15℃の水温帯が消えていても入らなければ、今期も絶望的…
※一応、現在の予測として記しておきます(;^_^A